最高裁判所第一小法廷 昭和31年(オ)141号 判決 1960年9月15日
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人らの負担とする。
理由
上告代理人刺使河原直三郎の上告理由について。
本訴は、被上告人(行政庁)が上告人らに対してなした違法な処分によつて、上告人らの権利がき損されたことを請求の原因とするものであるから、特別都市計画法二六条によつて準用される都市計画法二五条、二六条の解釈上上告人らは右処分に対し訴願することができず、ただ裁判所に出訴することができるのみであること、原判決(引用の一審判決)の説示するとおりである。従つて上告人らとしては行政事件訴訟特例法五条一項の規定により、処分のあつたことを知つた日(昭和二七年八月一一日)から六ケ月以内に本訴を提起すべきであるのに、右期間の経過後(昭和二八年六月一一日)提起したこと記録上明らかであるから、原判決がこれを不適法のものとして却下したのに違法があるとは認められない。
所論は、右期間の徒過には、上告人らに正当の理由があつた旨主張するが、本件は行政事件訴訟特例法五条三項にいう処分の日から一年を経過する以前に出訴された事件であるから、同項但書にいう正当の事由を云々する余地はない。この点に関する原判示には多少的外れと思われる点がないではないが、判決の結果には影響がなく、論旨は結局理由なきに帰するから採るを得ない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 高木常七 裁判官 斉藤悠輔 裁判官 入江俊郎 裁判官 下飯坂潤夫)